芭蕉布(ばしゃぎん)。お着物遊び(二十一) 日々タカラモノvol.125 |
お着物にはまってかれこれ20年あまり。
北で呉服屋セールがあれば出向き、南で店じまい売り出しがあれば駆けつけ
本当に、そのテの情報にはかなり敏感に反応しますわ。
お着物好きな友人がいればこその情報網、ですわね。
さて今回のお着物はそんな情報で手に入れた芭蕉布(ばしゃぎん)。
沖縄の喜如嘉の芭蕉布(ばしょうふ)ではなく、
まぎらわしいけれど、読み方が違います。
これは鹿児島垂水市でかなり以前に織られたものだと思います。
てっきり芭蕉布(ばしょうふ)だと思い、破格で手に入れた!と
大喜びでしたが、どうにも素材感が違うし疑問に思い調べてみたら
経(タテ糸)に糸芭蕉の繊維、緯(ヨコ糸)に木綿を使い織られている、
いわゆる交織のようです。
経緯とも、糸芭蕉の繊維の芭蕉布とは手触りも厚みも違います。
透け感もないし、パリパリの芭蕉布とは違いふっくらした柔らかさがあります。
帯は単衣用の帯で、ひなげしの染め帯です。
柄から考えるとやはり6月でしょうか?ざっくりとした質感の帯地です。
ひなげしの色に合わせた帯締めはお友達が作ったもの。
帯揚は淡い淡い、グリーンに小さな絞りの粒がツンツンしています。
生地は、透けていません。
本当は盛夏用なのかも知れませんが、ムシムシする今時に
良さそうなので私は単衣として着る事に。
後ろ姿。
ひなげしがすっと伸びてモダンに咲いています。
地味になりがちな民芸調のお着物が華やかになりました。
芭蕉布(ばしゃぎん)はもう、織られてはいないかもしれません。
一説には高価な芭蕉布(ばしょうふ)の替わりに織られたとか、
けれど手間ひまは、それと変わらないらしいです。
憧れの芭蕉布(ばしょうふ)ではなかったけれど
手仕事のチカラが強烈に伝わってくるこのお着物は
やはり大切な、タカラモノですわ。